「月給100円サラリーマン」の時代 ちくま文庫

今年の3月に読んだ本です。

戦前の日本社会といえば、戦争に軍国主義の暗い話ばかり。

普通の人も天皇陛下万歳ばかりをとなえていたかのようなイメージがあるわけですが、決してそんなことはなく、普通の人は今日と同じように普通の生活を営んでいたわけです。

当時の日本人も今日のわれわれと同じように日々の生活に追われ、愛国よりは月給、思想よりも就職、そんな庶民の生活を当時のデータとともに紹介しています。

当時から受験戦争はあり、講義をサボって試験前だけ人のノートを借りて乗り切る学生はたくさんいた。

そんな若者を「最近の若いやつらは」としかる大人の姿も今と変わりありません。

著者自身もあとがきで書いているように、「人間の本質はいつの時代もそう変わらない」

この本はもともと講談社新書で発売されていたそうですが、長いこと品切れ状態。

それをあとがきを書いている「反社会学講座」で知られるパオロマッツァリーノさんがあちこちで紹介したことで復刊となったとのこと。

私はパオロさんの本はたくさん読んでいますが、そういえばどこかでこの本のことを読んだ記憶があります。近現代の庶民文化史は人気がないといいますが、パオロさんの本と合わせて読むと面白いと思います。

 

*2017/10/1追記

書き忘れていたことがひとつ。

当時の住宅事情を紹介する中で、切り詰めた生活をしながら貯蓄に励み、貸家をたくさん所有し、給料よりも稼いでいるサラリーマンが登場します。文中では「出世をあきらめて蓄財に励む」という文脈で紹介されています。今でもBig tommorowあたりに似たような企画がたくさん出ていますね。本業が不調だと副業だとか蓄財だとか別の何かに向かいがち、ということも昔とあまり変わらないようです。