【本】池内紀「東京いいまち一泊旅行」

池内紀の紀行文が好きでよく読む。
最新刊の「東京いいまち一泊旅行」は都内在住の池内氏があえて東京に一泊して街を楽しむという趣向。東京の散策ものとしては「東京ひとり散歩」(中公新書)があるがその続編といった感じか。
散歩のスタンスは前著と変わっていない。あれもこれもと欲張らず、楽しみにするのは1日に1つか2つ。気の向くままの散歩である。

欲張らないことは簡単そうで難しい。自分はいつも出かければついあれもこれもの強行軍になってしまう。
たとえば本書にも出てくる板橋の東京大仏を見に行ったとき、大仏のあと神保町へ出かけた。

東京だと交通の便がいいからついあちこち目移りしてしまうのである。池内氏のようにのんびりと1つか2つを楽しめるようになるのはもっと年季がいるのだろう。だけどあちこちの強行軍もそれなりに楽しいものだと勝手に言い訳をしながら散策を続けている。