宮部みゆき「火車」

新潮文庫 初版1998年2月1日 2013年11月15日 75版

他人になりすました女性の凄惨な人生をカード社会を背景に描く。

・かなり早い段階で最初の疑問は解決されてしまう。だが肝心の女性はなかなか姿を現さない。そこで読者はどんどん引き込まれていく。

・途中で開陳される多重債務者の問題は個人の問題ではなく、それを作り出してきた世の中に原因がある云々・・の部分は情報小説的な読み方をする分には興味深いのかもしれないが、この長口舌には少し辟易、と思っていたら宇都宮健治弁護士に取材しているのだという。なるほど。

・肝心の依頼者の男性がその後前半以外にまったく登場しない。関根彰子の幼馴染の保があれほど熱心になることについて、何か匂わせるところもあるのに解決されないといった粗さもある。

・長いこと「ひぐるま」かと思っていたら「かしゃ」と読むのか、、、文中に由来が紹介されていた。